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離婚で家の名義変更にかかる費用はどのくらい?
離婚に伴って家や土地を分けるとき、「役所で名前を書き換えるだけで終わり」だと思っていませんか?
実は不動産の名義変更(財産分与)は、そんなに単純なものではありません。夫婦での話し合いから始まり、法務局での手続き、そして税金の申告まで、やるべきことが山積みです。そして、その手続きのステップごとに「費用」が発生します。
「無料だと思っていたのに、数十万円もかかってしまった!」なんてことにならないよう、まずは全体の流れと、どこでお金がかかるのかを把握しておきましょう。
離婚による不動産名義変更の流れと費用の全体像
1. 離婚協議・財産分与の取り決め(公正証書作成費用)
まずは「誰が、どの財産を、どれくらいもらうか」を夫婦で話し合います。後々のトラブルを防ぐため、決定事項を公的な書類(離婚協議書や財産分与契約書)にしておくのが一般的です。
さらに、養育費や財産分与の支払いを確実にするために、公証役場で「公正証書」にしておくケースも多くあります。
2. 名義変更の登記申請(登録免許税・専門家報酬)
家や土地の持ち主を正式に変更するためには、法務局で「所有権移転登記」の申請が必要です。
ここでかかるのが、国に納める税金である「登録免許税」。また、自分で手続きするのが不安な場合は、司法書士など専門家に依頼することになり、その報酬も必要になります。
3. 税金の申告・納付(場合により不動産取得税など)
無事に名義変更が終わった後も、油断はできません。受け取った内容や金額によっては、不動産取得税や贈与税、譲渡所得税などの税金がかかるケースがあるからです。
特に、「清算的財産分与」の範囲を超えるような過大な分与になっていないかどうかは重要なポイントです。
【段階別】名義変更手続きにかかる具体的な費用
ここからは、それぞれの段階で具体的にいくらくらいのお金が必要になるのか、詳しく見ていきましょう。「意外と高いな」と感じるものもあるかもしれませんので、しっかりチェックしてください。
離婚協議書・公正証書の作成にかかる費用
離婚後の「言った、言わない」の揉め事は避けたいもの。そのため、話し合った内容をまとめた「離婚協議書」や「財産分与契約書」を作成し、さらにそれを「公正証書」にしておくことが重要です。
公正証書を作ると、もし相手が約束(養育費の支払いなど)を破ったときに、裁判を起こすことなく、すぐに強制執行(給料の差押えなど)に進める可能性があります(※「強制執行認諾文言」を入れるなど、一定の条件が必要です)。
この作成にかかる「公証人手数料」は、取り決めた金額(財産分与額や慰謝料など)=「目的の価額」によって変わります。
2026年1月時点の公証人手数料(法律行為に関する公正証書の基本手数料)の目安は、たとえば次のようになっています。
- 目的の価額が50万円以下:3,000円
- 50万円超〜100万円以下:5,000円
- 100万円超〜200万円以下:7,000円
- 200万円超〜500万円以下:13,000円
- 500万円超〜1,000万円以下:20,000円
このように、扱う金額が大きくなるほど手数料も高くなる仕組みです。実際には、証書の枚数や内容による加算もありますので、正確な金額は事前に公証役場で確認しておきましょう。
名義変更(所有権移転登記)にかかる「登録免許税」
名義変更をする際に、必ず支払わなければならないのが「登録免許税」です。これは法務局で所有権移転登記をするための税金で、離婚に伴う財産分与を原因とする場合、原則として以下の計算式で求められます。
【 固定資産税評価額 × 2.0% 】
ここでいう「固定資産税評価額」は、市区町村が固定資産税の計算のために定めている価額で、固定資産税納税通知書などで確認できます。
例えば、土地と建物の評価額が合計1,000万円だったとしましょう。
- 1,000万円 × 2.0% = 20万円
なんと、これだけで20万円もの現金が必要になります。不動産の価格が高いほど負担も大きくなり、数十万円単位の出費になることも珍しくありません。あらかじめ固定資産税評価額を調べて、必要な資金を準備しておきましょう。
※不動産が共有名義で「共有物分割」として登記できる場合など、税率が0.4%となるケースもあります。
場合によってかかる「不動産取得税」と「譲渡所得税」
「家をもらったら、贈与税や不動産取得税がかかるのでは?」と心配になる方もいるでしょう。
結論からいうと、婚姻中に夫婦が協力して築いた財産を清算するための「清算的財産分与」の範囲内であれば、贈与税や不動産取得税はかからないのが原則です。
ただし、以下のようなケースでは課税対象になる可能性があるので注意が必要です。
- 慰謝料としての意味合いが強い場合
通常の清算的財産分与を超えて、「慰謝料」的な性質が強いと判断される場合、贈与税や不動産取得税の対象になることがあります。 - 離婚後の生活扶助の意味合いが強い場合
離婚後の生活費の不足分を補う「扶養的財産分与」と評価されると、贈与税の課税対象となる可能性があります。 - 財産分与により譲渡益が出た場合(渡す側)
これは「家を渡す側」の問題です。家を買ったときよりも時価が値上がりしていると、その差額(譲渡益)に対して譲渡所得税(所得税・住民税)がかかることがあります。
ただし、マイホームの3,000万円特別控除が使えるケースもあるため、具体的な計算は税理士等への相談がおすすめです。
また、登記原因(共有物分割かどうか等)や自治体の取扱いで変わり得るため、都道府県税事務所で確認をしましょう。
誰に頼む?弁護士と司法書士の費用と役割の違い
名義変更の手続きは複雑なため、専門家に依頼するのが一般的。しかし、「弁護士」と「司法書士」、どちらに頼めばいいのか迷ってしまう方も多いはずです。それぞれの役割と費用の違いを整理しました。
手続きのみなら「司法書士」(数万〜10万円程度)
もし、夫婦の間ですでに話し合いがまとまっていて、「離婚条件も財産分与も決まっている。あとは登記などの書類の手続きだけしてほしい」という状態なら、司法書士に依頼するのがよいでしょう。
司法書士は不動産登記のスペシャリスト。所有権移転登記や抵当権の抹消・設定など、法務局での手続きを代行してくれます。
費用相場は事務所や地域によって差がありますが、おおむね数万円〜10万円前後が一般的なレンジです。(不動産の数や評価額、必要書類の取得代行の有無などによって増減します)
交渉も含むなら「弁護士」(数十万円〜)
一方で、「相手が話し合いに応じてくれない」「財産分与額や家の扱いをめぐって揉めている」という場合は弁護士の出番です。
弁護士はあなたの代理人として、相手と交渉したり、調停や裁判で主張立証をしてくれます。その分、費用は司法書士よりも高額になりがちで、着手金・報酬金を合わせると数十万円〜になることが多いです(事案の難易度や金額によって大きく変動)。
「条件面での攻防」まで含めて任せたいのか、「決まった内容を安全に形にする」だけをお願いしたいのか。状況に合わせて、適切な専門家を選ぶようにしましょう。
費用だけじゃない!住宅ローン残債がある場合の注意点
「費用さえ用意すれば、すぐに名義変更できる」そう思っていませんか?
実は、お金以上に高いハードルとなるのが「住宅ローン」の問題です。
銀行の承諾手数料や借り換え費用
住宅ローンが残っていても所有権移転登記自体は可能な場合がありますが、多くのローン契約では名義変更に金融機関の承諾を要する旨が定められています。そのため、無断で進めると契約違反として一括返済を求められるリスクがあります。
では、名義を夫から妻へ変えるために、妻が新しくローンを組み直す(借り換え)としたらどうでしょうか。
この場合、銀行が「妻単独の返済能力でも問題なし」と判断してくれれば認められる可能性はありますが、その代わりに別の費用が発生します。
- 新規借入の事務手数料
- 保証料
- 抵当権設定登記の費用(登録免許税+司法書士報酬 など)
これらを合わせると、やはり数十万円規模の出費になるケースもあります。
また、そもそも借り換え審査に通らなければ、名義変更そのものが前に進みません。
「費用を用意したのに、ローンの審査に通らなくて名義変更できなかった」というケースも少なくないのです。
費用が払えない・ローン問題がある場合の解決策
「名義変更にかかる数十万円が払えない…」「ローンの審査に通らず、手続きが進まない」そんな八方塞がりな状況でも、解決策はあります。無理に名義変更「だけ」にこだわらず、別の視点で考えてみましょう。
不動産を売却して現金で分ける
一番シンプルで後のしがらみも少ない解決策は、家を売ってしまうことです。
売却して現金化すれば、夫婦間で名義を移すための登記や登録免許税をわざわざ追加で払う必要はなく、「売却代金 - 売却にかかった諸費用(仲介手数料・登記費用・抵当権抹消費用 など)」の残りを二人で公平に分ける、という形にできます。
もっとも、売却には次のような費用・税金がかかる可能性があります。
- 買主への所有権移転登記に伴う登録免許税・司法書士報酬
- 不動産会社への仲介手数料
- 条件によっては譲渡所得税・住民税(利益が出た場合)
つまり、「まったく税金を気にしなくてよい」というわけではありません。
- 家をどちらが引き継ぐかでもめにくい
- 売却によってローンを完済できれば、住宅ローン問題も同時に解決しやすい
といった意味で、「クリーンに関係を整理しやすい」選択肢と言えるでしょう。
自分の「共有持分」のみを買取業者に売却する
「相手が家に住み続けたいと言って譲らない」「話し合いが長期化して、もう関わりたくない」そんな時は、自分の持っている権利(共有持分)だけを専門業者や第三者に売る方法もあります。
ポイントは次の通りです。
- 共有不動産の「自分の持分」だけであれば、基本的に他の共有者の同意がなくても売却可能
- 売却後は、あなたの持分は買主に移り、共有関係からは抜けられる
ただし、注意点も多いです。
- 持分を移転するには、やはり持分移転登記が必要で、登録免許税や司法書士費用などの「名義変更の費用」は発生します。
- 住宅ローンや抵当権が残っている場合、ローン自体はそのまま残るのが通常で、金融機関との調整が必要になるケースもあります。
- 共有持分は利用しづらい権利のため、買取価格が一般の相場より低くなりがちです。
「相手の同意は取りづらいが、自分だけ先に現金化して関係を整理したい」という場面では有効な選択肢になり得ますが、ローンや税金の問題が一切なくなるわけではないことは、必ず押さえておきましょう。
まとめ
離婚に伴う家の名義変更には、登録免許税や公証人手数料、司法書士などへの専門家報酬といったまとまった費用が必要です。不動産の評価額によっては数十万円、住宅ローンの借り換えまで含めるとそれ以上の出費になることもあります。
また、単にお金の問題だけでなく、住宅ローンの残債状況や銀行の承諾が得られるか、各種税金が発生しない形になっているかによっても手続きの難易度は大きく変わります。費用と手続きの両面から慎重な判断が大切です。
もし名義変更が難しいと感じたら、自宅を売却して現金を分ける方法や、自分の共有持分だけを売却して関係を解消する方法もあります。無理に進めず、専門家に相談して総合的なプランを検討してみてください。
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