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離婚後も共有名義の家に妻が住むことはできる?

「離婚したけれど、共有名義の家に住み続けたい」と思う方は少なくありません。共有名義の家であっても夫婦間で話し合いにより、どちらが一方だけが済み続けることは可能なのでしょうか?この記事では、離婚後も家に住み続けたいと考えている方へ、共有名義がもたらすデメリットと持ち家に住み続けるための方法を紹介します。

離婚後も共有名義の家に妻が住むことは可能

離婚後も、共有名義の家に妻(または夫)が住み続けることはできます。ただし「夫婦間で話し合い、双方が納得している」場合に限りです。共有名義は、「複数人で1つの不動産を共有している状態」のため、不動産をどのように扱うのか決める際には他の共有者全員の同意を得なければなりません。つまり、家が夫婦の共有名義の場合、夫婦で話し合ったうえで互いに合意が得られれば家に住み続けられますが、反対しているのならば交渉が必要になるのです。

しかし、「了承を得たから、とりあえず安心」と思った方もいるかもしれませんが、共有名義のまま住み続けるのは、あまりおすすめできません。できれば共有状態を解消し、単独名義に変更しましょう。

共有名義のままにすると起きる4つのデメリット

複数人で不動産を所有する共有名義には、ローンの控除や売却時の控除、相続税の節税といったメリットが存在します。しかし、トラブルを招きやすくメリットとを上回るほどのデメリットがあるため、ここではデメリットを4つ紹介します。

自由に売却や活用ができない

共有名義の不動産の売却や活用は、「共有者全員から同意を得なければならない」と決められているため、自分の独断で家を売ったり、増築したり、賃貸に出したりできません。したがって、共有名義である限り、離婚後も相手と連絡を取り合う必要があります。

不動産の利用について話し合う度に意見が合わず口論になる可能性も考えられ、「そもそも、顔を合わせるのがつらい」というケースもあるかもしれません。持ち家でも自由に使えないところが、共有名義の大きなデメリットです。

相続時にトラブルが起きやすい

相続のたびに共有者(権利者)が増え、手続きが複雑になっていきます。

たとえば離婚後、お互いに再婚して子どもが生まれたとします。この場合、自分と再婚相手の間にできた子どもも法定相続人になりますが、相手(元夫・元妻)と再婚相手の間にできた子どもも法定相続人となります。「自分たち夫婦+子ども」と「元夫(妻)たち夫婦+子ども」で、1つの家を共有している状態になってしまいます。

共有名義の不動産は売却をはじめ税金の支払いや増改築など、さまざまなことで連絡を取り合わなければなりません。そのため、共有者が増えれば増えるほど、「連絡がとれない」「話がまとまらない」と、トラブルに発展する可能性があります。

税金の支払いでトラブルになる可能性がある

不動産の共有者には、固定資産税などを連帯して納付する義務を負っています。そのため、本来は、離婚後も住み続ける妻(夫)はもちろん、家を出て行った側も納税しなければなりません。

しかし、納税通知書は、代表者に対して送付されます。どちらか一方のみ家に住み続けているケースでは「住み続けている人が払うべき」と、住んでいないほうが支払いを拒否する可能性も考えられます。このような場合、「あなたも所有権をもっているのだから、支払ってよ」と、トラブルの原因になるでしょう。

第三者と共有状態になる可能性がある

共有不動産は不動産全体の売却をするには、1人の判断ではできませんが、持分のみの売却は可能です。共有持分は活用方法が難しいため売却の難易度は高いのですが、不動産業者や買取業者が存在するため買い取られるケースも珍しくありません。

仮に元夫(妻)が「自分の共有持分」を第三者に売却してしまった場合、現在家に住み続けている人と第三者が1つの不動産を共有状態になります。不動産業者は、売ったり賃貸に出したりと活用の幅を広げるために家に住んでいる妻(夫)へ、「あなたの共有持分も買い取らせてほしい」と交渉することが予想されます。断ることは可能ですが、常に交渉や第三者の意見がちらつき、住み心地がよいとはいえなくなるでしょう。

離婚後に共有名義の家に住む場合は単独名義への切り替えがおすすめ

離婚したあとも家に住み続ける予定の場合は、共有名義から単独名義に変更することをおすすめします。単独名義にする、上述したデメリットをすべて解消できるでしょう。ここでは、「単独名義にしたいけど、住宅ローンが……」と思った方へ、住宅ローンが残っている場合いと残っていない場合それぞれの単独名義への変更方法について紹介します。

住宅ローンが残っていない場合

住宅ローンがない場合、相手から同意を得て共有持分を譲ってもらうことで単独名義に変更できます。譲ってもらう方法には、金銭を支払う方法と、無償で譲り受ける方法の2パターン。金銭を支払って譲ってもらうのが一般的ですが、話し合いによって無償で譲ってもらえるケースもあります。相手から無償で共有持分を譲ってもらった場合には、その共有持分に対して贈与税が課される点に注意しましょう。

住宅ローンが残っている場合

住宅ローンが残っている場合でも、法律上は名義変更が可能です。ただし、住宅ローンの規約違反になるリスクがあります。住宅ローンを組む際、契約書に「銀行の承諾なく名義を変えてはならない」といった内容が記載されているケースがほとんどだからです。そのため、変更を行いたい場合には、銀行側に承諾を得たうえで行いましょう。承諾が得られない場合の方法として考えられるのが、一括でローンを完済する方法です。一括返済が難しい場合にはローンの借り換え検討しましょう。

すでに問題が発生してしまっている場合はどうする?

近年の空き家問題なども含め、「共有名義」が引き起こすトラブルが社会的な問題となっています。すでに見知らぬ人と共有関係になっていたり、相続が繰り返されることで共有者が多くなりすぎたり、離婚後も相手と連絡を取り合う必要があったりとすでに困っている状態の方も少なくありません。また、共有名義解消に向けて単独名義に変更したい場合でも、「相手と話がまとまらなさそう」「相手と顔も見たくない」というケースもあるでしょう。

このような場合には、自分の共有持分を不動産業者に買取ってもらい共有状態を解消するのもひとつの方法です。今の家には住み続けられなくなりますが、買い取ってもらうことでまとまった資金を得ることができるほか、固定資産税などの納税負担も減らせます。共有持分の買い取りを専門に扱っている不動産業者もあるため、相談してみてはいかがでしょうか。

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