相続トラブルを防ぐには生前整理が有効！

共有持分の不動産は、共有者間トラブルや不動産の取扱いにトラブルが多いことも特徴です。このページでは、共有持分の相続トラブルに注目した、生前整理について紹介しています。“生前整理とはどのようなことをするのか”　 “どのような相続トラブル防止に役立つのか”という点もあわせてお伝えしましょう。

生前整理とは？

生前整理とは、自身が生きているうちに、これまで集めた自分の持ち物や財産などの整理、残された遺族が困ることのないよう、あらかじめ不要な物の処分をしておくことをいいます。生前整理は、家の中にある様々な物だけではなく、不動産自体も対象となります。特定の不動産のほか、共有持分も該当する点も覚えておきたいポイントです。

不動産の生前整理の必要性

不動産の生前整理が必要な理由の一つは、相続人同士のトラブルを防ぐためでもあります。父母の両方が亡くなった場合、法定相続人の子どもが不動産を相続することとなります。子どもが一人であれば、その不動産の権利すべてを相続することになりますが、兄弟がいる場合は人数に応じて相続分が決まります。元々単独名義の不動産が共有持分となるのは、このようなケースが原因でもあります。また、当初から共有持分だった不動産を兄弟間で相続する場合は、さらに権利関係が複雑化することも懸念されます。

共有持分の不動産は、取り壊しや売却などを各共有者が勝手にすることはできません。法律上の制限による兄弟間での不動産の運用・処分に関するトラブルや権利関係の複雑化を避けるために、生前整理として遺言書の準備や不動産または共有持分の売却等も検討すべきといえるでしょう。

共有持分不動産の生前整理の方法

共有持分不動産の生前整理の方法は3つあります。

ここからは、3つの方法の特徴と注意点を解説していきます。

不動産の売却

まず、一つ目の生前整理方法として、単独名義の不動産と同様の方法である『売却』が挙げられます。これは、不動産自体の売却となるため、他の共有者との協議のうえ、全員の同意が必要となる点に注意が必要です。共有持分不動産に自身が居住していた場合であれば、他の共有者に対して売却の提案がしやすい状況かもしれません。しかし、他の共有者が居住している場合は、売却によって居住者の生活環境に多大な影響が出るため、スムーズな話し合いは難しいといえるでしょう。

共有持分のみの売却

不動産売却の話し合いが進まないケースで検討すべき生前整理の一つが自己の共有持分のみを売却する方法です。最近では、共有持分のみの買取りを積極的に行う不動産会社も多数あり、事情により共有持分解消が難しい場合などにも対応しているため相談先にもおすすめでしょう。ただし、共有持分のみの売却先を決める際は、売却金額のみに重点を置くことは危険です。不動産の共有持分は、登記上の権利関係や税金、他の共有者との関係など様々な事情が絡み合っており、総合的なサポート力もポイントです。自分に合った買取先を見つけるため、いくつかの会社をピックアップして相談してみましょう。

共有持分の生前贈与

3つ目は、自分が元気なうちに不動産の共有持分を子どもに生前贈与してしまう方法です。これも共有持分のみの売却と同様に、不動産の売却ができないケースや法定相続人となる子どもが数人いるケースの生前整理といえます。兄弟が数人いる場合など、親が健在なうちに話し合うことによって、相続後の権利関係の複雑化を防ぐこともできます。

尚、生前贈与により贈与税が発生しますが、一定の条件を満たす場合は相続税精算課税制度を利用することも可能です。

共有持分による相続トラブルポイント

共有者間の意見の相違

単独名義で所有していた土地建物などを兄弟で相続するケースは少なくありません。『兄弟間で分割するのであれば、トラブルなんて起こらないんじゃないの？』と思う人も多いでしょう。しかし、実際は売却しやすい土地のみを2分の1ずつ相続したケースですら、意見が合わずに揉めてしまう事例も多々あります。相続時は、兄弟であっても、今後どのように活用したいのか、お互いの意見を確かめておくことが大切です。

相続の相続による共有者の増加

不動産の共有持分を相続する場合、法定相続人の人数だけ持分が細分化されることとなります。共有持分の状態での相続が繰り返されることにより、不動産の共有者が増え、共有者間の関係性も薄くなっていく点にも注意が必要です。このような状態だと、いざ不動産を処分しようとしたとき、共有者全員での協議が調わないケースや所在のわからない共有者が出てくる可能性もあります。共有持分の相続は、不動産の権利関係が複雑化するだけでなく、処分することすら困難になることも覚えておきましょう。

将来に備えて生前整理を！

共有持分の不動産に限らず、相続によって親族間でトラブルとなるケースは数多くあります。その中でも共有持分の不動産は、運用・処分が困難といえ、生前整理による相続準備が重要なものです。また、相続に係わる生前整理は、家族で十分に話し合ったうえで進めることが大切であることも覚えておきましょう。

残された家族が納得し、安心できる方法での生前整理を検討してみてください。

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