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共有持分は相続放棄するべき?

共有状態の不動産は、トラブルが起きる可能性があるため「相続放棄したい」と考える人は少なくありません。しかし、共有持分を相続放棄するかどうかは、遺産と負債を比較してから判断することが大切です。

ここでは、共有持分の相続放棄について、メリットやデメリット、相続放棄したほうがよいケースを紹介します。

そもそも共有持分は相続放棄できる?

共有持分の相続放棄は可能ですが、遺産と負債すべての相続権を放棄する必要があります。「共有持分のみ相続を放棄して、他の遺産は相続する」ことはできません。

安易に「放棄したいからする」ではなく、どのくらいの遺産を受け取れ、どのくらいの負債を引き継ぐのかを考慮してから、相続放棄をするか否か判断しましょう。

相続放棄した共有持分はどうなる?

自分が相続放棄をした場合、共有持分の権利は次の順位の相続人に移ります。たとえば、自分から子どもへ、自分の兄弟へ、といった具合です。「相続順位」は、民法で以下のように定められています。

  • 被相続人の配偶者
  • 第1順位:被相続人の子ども
  • 第2順位:被相続人の父母や祖父母
  • 第3順位:被相続人の兄弟姉妹

被相続人の配偶者には順位はなく、常に相続権があります。ただ、ケースによっては順位どおりにならないことも珍しくありません。

たとえば、相続放棄をしたいと考えているAさんがいたとします。Aさんには子どもがいるとしましょう。Aさんの父親が亡くなり、息子であるAさんが相続放棄をした場合、Aさんの子どもに相続権は継承されません。

共有持分を相続放棄した場合のメリット

共有持分を相続放棄するメリットには、他の共有者とのトラブルや負債の支払いを回避できる点があげられます。

他の共有者とのトラブルを解消できる

共有持分の相続放棄において大きなメリットになるのが、他の共有者とのトラブルを避けられる点です。共有状態である不動産は、費用負担や割合など、相続人同士でトラブルになりがちです。

話し合いがスムーズに進まず、長引くことも少なくありません。相続放棄をすると、話し合いに参加しなくてすむため、相続人同士のトラブルに巻き込まれたり、時間的な拘束を強いられたりせず、精神的負担が軽くなるでしょう。

相続税や負債の支払いを回避できる

相続を放棄すると、相続税や負債を支払う必要がなくなります。相続をした際には、プラスの資産だけではなく、借金やローンなどの負債も引き継がれます。

また、相続税も納めなければなりません。相続を放棄することで、相続税の支払い義務や、負債に対する返済義務を回避できます。

共有持分を相続放棄した場合のデメリット

共有持分の相続放棄におけるデメリットには、プラスの遺産も相続できなくなることや、手続きの手間があることなどがあげられます。

プラスの遺産も相続できない

相続放棄をすると、すべての相続財産を放棄しなければなりません。つまり、負債だけでなくプラスの遺産も相続できなくなります。なぜなら、相続放棄をした場合、「はじめから相続人ではなかった」として扱われるからです。

”第九百三十九条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。”

遺産には、預貯金や車など、資産となるものも含まれます。そのため、プラスの財産が多い場合に相続放棄してしまうのは、デメリットになりかねません。

「共有持分はいらないけど、そのほかの財産は相続したい」という場合には、遺産分割協議で意見を主張する、または一度相続してから共有持分を売却する、など違う方法を考えましょう。

共有持分を売却できない

一度も相続をしないまま相続放棄をした場合、共有持分の売却はできません。理由は、上記と同じく「最初から相続人ではなかった」という扱いになるためです。

自分も共有持分の所有権をもっている際には、自分の持分である部分を売却できますが、相続をしないまま放棄した場合には、共有持分は自分の所有物とはならず、売却できる対象ではなくなります。

共有持分の売却はタイミングや手続きが複雑なので、弁護士などの専門家や、共有持分専門の買取業者に相談してアドバイスをもらいましょう。

家庭裁判所での手続きが必要

相続放棄をする際は、家庭裁判所へ申し出て手続きをする必要があります。

”第九百三十八条 相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。”

手続きをする際には、以下の書類を提出しなければなりません。

  • 相続放棄の申述書
  • 被相続人の住民票の除票
  • 被相続人の死亡を記載してある戸籍謄本
  • 相続放棄をする本人の戸籍謄本
  • 収入印紙
  • 書類送付用の切手

戸籍謄本は本籍地のものが必要なため、遠隔地に住んでいる際には取り寄せる手間がかかります。手続きを専門家に依頼する際には、費用が数万円程度かかるケースもあります。

自分で手続きをおこなうか依頼するか、どちらにしても手間や労力、費用がかかる点はデメリットといえるでしょう。

共有持分を放棄する手順

共有持分を放棄する際の具体的な手順と注意点について説明します。

1.共有持分の放棄の意思表示をする

共有持分を放棄するには、明確な意思表示が必要です。これは、口頭での表明ではなく、法律上の手続きとして正式に行う必要があります。意思表示は一方的なもので、他の共有者の同意を得る必要はありません。ただし、放棄後にその持分は他の共有者に自動的に帰属するため、事前に他の共有者へ通知しておくと後々のトラブルを避けられるでしょう。

また、意思表示の際には、まず専門家に相談することをお勧めします。弁護士や司法書士に依頼することで、手続きがスムーズに進むだけでなく、法律的に問題のない形で意思を表明することが可能です。また、共有持分の放棄は不動産登記簿に反映されるため、その準備も進めておく必要があります。

2.共有持分移転登記の申請をする

共有持分を放棄した後は、速やかに「共有持分移転登記」を申請する必要があります。これは、共有持分が他の共有者に移転したことを法的に記録する手続きです。これにより共有持分放棄の意思が公式に認められ、他の共有者がその持分を引き継ぐことになります。

登記手続きの際には、主に以下のような書類が必要です。

  • 共有持分放棄に関する書面(意思表示の証明)
  • 身分証明書などの本人確認書類
  • 登記原因証明情報
  • 登記識別情報
  • 固定資産評価証明書
  • 登記権利者の住民票
  • 登記義務者の印鑑証明書 など

この申請は司法書士に依頼することが一般的ですが、個人で手続きを進めることも可能です。しかし、登記手続きは専門的な知識が必要なため、司法書士に依頼する方が安心です。また、申請には費用がかかるため、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。

共有持分を放棄する際の注意点

共有持分を放棄することには一定のメリットがありますが、その過程で注意しなければならない点も多くあります。ここでは、共有持分放棄に伴う注意点を解説します。

持分放棄の際に生じる税金に気を付ける

共有持分を放棄する場合、税金が発生する可能性がある点に注意しなければなりません。共有持分を他の共有者に無償で譲渡する場合、贈与税や譲渡所得税の対象となることがあります。無償であっても、その持分に相当する価値が移動するため贈与と見なされ、贈与税が課されるケースがあるのです。

また、持分を放棄する際にその不動産に負債が付いている場合は、負債の一部を引き受けたと見なされることがあり、この場合も課税の対象となる可能性があります。

そのため、共有持分の放棄を検討する際は税務面での専門家に相談し、税金に関するリスクを理解したうえで放棄の判断をするようにしましょう。

共有持分の放棄は早い者勝ちの側面がある

共有持分の放棄には「早い者勝ち」の側面があります。これは、他の共有者が次々に持分を放棄し、最終的に自分が最後の共有者になってしまうと、放棄ができなくなるためです。

最後の共有者は、すべての持分を一手に引き継ぐことになるため、不動産全体の所有権を持つことになり、放棄という選択肢がなくなります。そのため、共有持分を放棄する際は、タイミングを慎重に見極める必要があります。

共有持分を相続放棄したほうがよいケース

すでに相続間でトラブルが起きている場合や、負債が多い場合には、共有持分の相続放棄を検討したほうがよいでしょう。

他共有者とトラブルになっているとき

共有持分について、すでにトラブルになっている場合には、相続放棄するのが得策かもしれません。たとえば、「共有持分を売却する・しない」「遺産相続の取り分が多い・少ない」など、親族間であっても揉めるケースはあります。

トラブルが深刻になると、裁判に発展する可能性も考えられます。共有持分のトラブルに巻き込まれている際には、相続放棄をして、トラブルを回避するのも、ひとつの方法です。

相続する負債やローンが多いとき

被相続人に多額の借金やローンなどの負債がある場合には、相続放棄をするとよいでしょう。なぜなら、相続後に経済的負担が増える可能性があるためです。

繰り返しになりますが、遺産を相続するとプラスの遺産だけではなく、マイナスの遺産も相続することになります。

そのため、たとえば自分にも住宅ローンがあり、被相続人にもローンがあった場合、自分の住宅ローンと同時に被相続人が生前抱えていたローンも返済していかなければならなくなるかもしれません。

被相続人のマイナスの遺産がプラスの遺産を上回っている際は、相続放棄をしたほうが、経済的負担は少ないでしょう。

共有持分の価値が高いなら相続放棄しないほうがよい

マイナスの遺産がプラスの遺産を上回る場合は、相続放棄をするのがよいと述べましたが、「共有持分の資産価値が高い」場合には、相続放棄をせず、一旦相続してから売却したほうがよいケースもあります。

たとえば、立地がよい場所に建ててあり、賃貸に出しても需要がありそうなマンションなどです。共有持分の資産価値が高い際には売却することで、売却益を受け取れます。

とはいえ、共有持分の資産価値を自分たちで判断するのは難しいものです。共有持分専門の買取業者にて査定してもらえるため、チェックしてもらいましょう。

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